no.7  医療費控除のすすめ

 年末になると年末調整や確定申告に向けた準備で関係する方の

周辺が騒がしくなってきます。今年もこの時期が近づいてきました。

 

税金のことは専門家でも難しい内容になるのですが、

今回は医療費に関係することで、知っておいた方が良いことを書かせていただきたいと思います。

 

医療費に関係する申告といえば

「医療費控除」という言葉をご存じの方もいらっしゃると思います。

 

 

 

●医療費控除って!?

 「医療費控除」とは、健康保険制度や生命保険等で補填される部分を除いて、

医療費を一定額(10万円。年間の総所得額が200万円未満の方は総所得額の5%)以上負担した場合に、

計算によって求められた金額を所得額から差し引くことができる仕組みのことです。

 

ざっくり簡単に言ってしまうと、医療費をたくさん負担した場合に所得額を少なくできる制度です。

(「所得」とは税金の計算の元になる金額のことで、いわゆる「収入」とは異なるのですが、

説明すると複雑になってしまいますので、詳細の説明は省きます。)

 

 

よくある勘違いとして、医療費控除とは、「支払った医療費が返金されること」と思われている方がいらっしゃいます。医療費そのものが返金される制度ではない点をご注意ください。


 

 では、所得額が少なくするとどんなメリットがあるのでしょうか。

まず、給与天引き等で引かれた所得税が還付(返金)されるということがあります。

 

給与等で引かれてる所得税は見込み額となっており、

会社の年末調整や確定申告により

1年間の所得額が確定した後に再計算されます。

 

医療費の申告を行うことにより所得額が少なくなりますので、

所得税の確定額も少なくなり、支払い過ぎている所得税が還付されます。

 

また、翌年の住民税額(都道府県民税・市区町村民税)にも影響があります。

このことはあまり気にされている方がいらっしゃらないのですが、

住民税は昨年度の所得に応じて計算されています。

今年でしたら、2015年の所得により2016年分(2016年6月~2017年5月分)の住民税額が決まります。

既に支払っている住民税の還付はありませんが、

翌年の住民税額に反映されますので知っておいて損はないと思います。

医療費の申告をすることにより未来に支払う税金にも影響があると覚えておきましょう。

 

尚、医療費の申告は会社の年末調整では反映できません。

年末調整が終わった後に源泉徴収票をいただけますので

源泉徴収票と医療費の領収書等を元に確定申告をする必要があります。



●「医療費」に含まれる範囲

 

 次に「医療費」に含まれる範囲についてですが、

医療機関を受診した場合の健康保険を使っての診察代や処方されたお薬代はもちろんですが、

通院のために使用した公共交通機関の運賃も申告することができます。

場合によってはタクシー代も認められる場合があります。


(タクシー代は公共交通機関の利用が難しい場合等に限られますが、ご自身が該当するかは最寄の税務署にご確認ください。)

マイカーで通院した場合のガソリン代、駐車料金は認められません。

 

公共交通機関では領収書が発行されませんので、ご自身で明細を作成しておきましょう。

日付、受診した医療機関名、交通機関名、運賃の一覧表を作成しておけばスムーズに手続きができます。

 

医療機関の受診によるもの以外では、

ドラッグストア等で購入した風邪薬等、治療のための薬代は申告できます。

病気の予防や美容のためのサプリメントや健康食品、健康器具は認められませんが、

日頃からレシートを保管しておくことをお奨めします。

他にも、あなたが支払ったご家族の医療費等、意外なものが医療費として認められる場合がありますので、少しでも気になることがありましたら、税務署に問い合わせたり、国税庁のホームページを確認しましょう。


 

 

●申告期間と申告方法

 最後に、申告期間と申告方法についてです。

意外に知られてないのが申告期間について。

毎年2月中旬頃からの約1ヶ月間が

前年度分の確定申告期間とされていますが

医療費控除等の還付申告は確定申告期間中でなくても手続きが可能です。


体調が優れない方や身体が不自由な方にとって、税務署での待ち時間は耐えがたいものです。

確定申告期間は税務署に大勢の人が訪れ待ち時間がかなり必要ですので

還付申告だけの方はこの時期をはずすことをお奨めします。

税務署が忙しい時期をはずすことで丁寧な説明を聞くこともできるというメリットもあります。

 

 

申告方法にはe-Taxといった電子申告の方法もあります。

インターネット回線と郵送で申告ができ、外出できない方には便利だと思いますが、

電子証明書の発行やICカードリーダライタの購入等、事前に準備をする必要があります。

国税庁は電子申告を推奨していますが、税務署に出向くのも電子申告をするのも、どちらにも一長一短があります。


ご自身に合った方法で申告方法を選ばれれば良いと思います。

ちなみに私は、例年1月中に税務署に出向いて申告するようにしています。 


以上、医療費控除について知っておいた方が良いことを書かせていただきました。

詳しくは最寄の税務署、国税庁のホームページでご確認のうえ、申告手続きをなさってください。



                                  

 

 

 2015年11月

 

 

【こちらの国税庁サイト。税金関連の質問が出てきた時に便利です!ご参考になれば】

  ≫国税庁ホームページ(タックスアンサー)



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   ■この記事を書いた人 writer ヴィンセント

大阪府枚方市在住。脊髄係留症候群による下肢障害、特発性慢性疲労

アスモスマイルサポートメンバー

 

社会福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、障害者職業生活相談員など 資格保有

医療ソーシャルワーカー、高齢者施設の相談員・施設長、福祉用具専門相談員などを経験

慢性疲労症候群の啓発活動に尽力中!

Twitterアカウント:gintaro_y