京都大学医学部附属病院小児科病棟内で活動しておられる「にこにこトマト」さん。
代表の高谷さんと前代表の神田さんが20年に及ぶ院内ボランティア活動について貴重なお話を書いてくださいました。
にこにこトマト(以下にこトマ)は1995年から京大病院小児科に入院中の子どもたちと家族に「楽しく豊かな時間」を届けているボランティア団体です。
20周年を迎え4月から、わたくし高谷が代表を引き継いでおります。
具体的に「豊かな時間」とはどういうものかと申しますと、限られた空間と時間の中で遊びのアイデアを提供したり、音楽や絵本を通して入院する前と変わらず子どもの成長に栄養を与え続けることだと思っています。
にこトマに登録しているメンバーは今年度77名。定例会と呼ばれるプレイルームで活動する会は大きく4つに分かれ、1、毎月活動する会 2、隔月活動する会 3、年1回活動する会 4、不定期の会 で構成されています。
こちらは、ある月のカレンダーです。
平凡な入院生活でも毎日小さな楽しみがあるとそれで少しリズムが変わってきませんか?
私が にこトマ に関わるようになったのは、2010年に娘の小児がんが再発してしまった事にあります。再発するまでには5年と3か月の期間があき、私たちも安心していた時期でした。最初に発症したのは4歳の時でした。京大病院とは違う別の病院で11か月入院しました。その時に数人のボランティアさんにお世話になりました。ですが、病棟公認のボランティアではなく、個人の活動であった為に長く続けることは出来なかったようです。
退院後、同じ大学病院なのに小児病棟でボランティア活動を盛んに行っている病院があると耳にしました。抗がん剤の治療をしていて免疫力の少ない子の病院に、家族でもない親族でもない第三者のボランティアが入るのは難しいだろうと決めつけていた私は衝撃を受けました。
5年3か月後に再発した時にはその病院の事を思い出し、「楽しい入院生活を送りたい」と京大病院での治療を決めました。
それがにこトマとの出会いでした。
入院した時に4年生だった娘は院内学級から帰ってくるとにこトマのカレンダーを気にして「今日は何かな?」と楽しみにしていました。にこトマの対象年齢は定例会の催し物によって変わってきます。娘が特に好きで毎月楽しみにしていたのは墨遊びと工作のある会でした。
娘は手先が器用で中学生になったら にこトマ のお手伝いをしたいなと言っていましたが、長女からの骨髄移植から1年4か月後、合併症の為12歳でこの世を去りました。
亡くなってから2か月後、前代表より「顔を見せに来てね」と電話を頂き、軽い気持ちでにこトマを訪れ、メンバーに登録し、軽い気持ちで事務局の一員になり、娘の代わりに軽くお手伝いをするつもりでした。
それが代表を引き受ける気になったのは、この活動をずっと続けていかなければならないという思いがあったからです。ちょうど前代表がご病気をされ、いよいよ心を決める時がきたという感じでした。まだまだ私自身のにこトマ歴は浅く、他のメンバーがいなければ何もできませんが、多才なメンバーとともにまずは20周年記念行事を成功させることが最初の山です。
ボランティアは日本ではまだまだ携わっている人口は少ないように思いますが、にこトマのように1か月に1度の活動をする人がたくさん集まれば、病棟の子どもたちには毎日楽しい事を体験させてあげられるのです。
これからも「にこトマカレンダー」が毎日楽しい事で埋まるよう、事務局一同運営に励みたいと思います。
にこにこトマト代表
高谷恵美
京大病院小児科ボランティアグループ「にこにこトマト(にこトマ)」の前代表の神田です。
1992年の娘の入院中の個人活動を元として1995年にグループを立ち上げて20年代表を務め、この春に新星高谷さんにバトンタッチをしました。
けれど、今年は、にこトマの記念すべき20周年の年です。それで、みんなで記念行事のさまざまな企画を同時並行で準備しているので、感傷に浸る時間もありません。
さて、高谷さんが前半で大切なことは書いて下さったので、こんなお話を。
*あるとき、病棟近くの廊下で、小児科の医師と見慣れない女性が歩いていらっしゃるところに偶然行き当たりました。「この方は、にこトマがあるからこの病院に来られたのですよ」と医師。私は驚いて「それは、この病院の医療がいいからですよ」とあわてて答えました。嬉しいのはもちろんですが、身を引き締めて活動しないとその人を失望させてしまう!という強迫感もちょっぴり感じたのだと思います。あとで記憶をたどると、その女性が高谷さん。はじめての出会いでした。
*2,3年前に、信じられないほど器用な小6の女の子が入院していました。
部屋の扉の外に、これまた信じられないようなきれいな手作りのマグネットがいっぱい貼ってありました。よく見ると、またまた信じられない安い値段で、希望すれば作ってくれるって?
にこトマで活用しようと30個も申し込みました。後日、出来上がったとのことでマグネットをいただきに病室に出向きました。「たくさん作ってくれてありがとう!すごいすごい!」
しかし、その直後女の子は体調が急変し、天使になられたと後日聞いて心底驚きました。
高谷春香さん(ハルちゃん)でした。
*昨夏。「私があなたに代表を譲りたいと言ったら、どう答える?」と恐る恐る聞く
私に、
「もちろんイヤですよ…でも、子どもたちに必要だから、この活動は続けなければいけないです…検査や薬や手術であんなに頑張っているのに、おとながイヤだからと逃げていたら、子どもたちに恥ずかしく申し訳ないと思うので…受けようと思います」
「!!!」
それが新代表の高谷恵美さんです。
必要なものは壊してはいけないのです。
子どもたちの希望を優先させて、重いバトンを受け取ってくれた新しい時代のにこトマを、これからどうぞぜひ応援してくださいね。
あなたの心地よい場所から心地よい範囲の応援をして下さったら、
必ずあなたの応援と温かなお気持ちを子どもたちに届けます。
子どもたちの笑顔を、私たちだけでなく多くの人と一緒にずっとずっと守りたいのです。
高谷さんの文にもあるように、一人では小さな力でも、
1か月に一度の活動がたくさん集まれば毎日がワクワクする楽しい日に変わります。
今この瞬間が楽しい、そして時々大きなお祭りやハロウィーンがあれば、待つ楽しみもあってワクワク感を高め、
入院や治療の辛い・苦しい・痛いことを、きっと子どもたちは乗り越えていけるのです!
さて、今私たちは、
ひとつの夢をクラウドファンディング(レディーフォー)で叶えようとしています。
20周年の記念展を街なかのギャラリーで開くため、
活動の継続に必要な資金を生むグッズを作るため、
また、これまで出会ったことのない方々と出会うために
「闘病生活を送る子どもたちの笑顔をこれからも作っていきたい!」と
いっぱいの思いと夢を持っての挑戦です。
にこトマのフェイスブックや、スタッフブログとともに、レディーフォーもご覧くださって、
子どもたちと、その笑顔を守る活動を支えていただきますようにお願いいたします。
「きょう楽しいことが明日の元気!」
応援する私たち大人にとってもそれは同じですね!?
にこにこトマト
前代表 神田美子
にこにこトマトさんの活動にご興味、ご関心を持たれたみなさま
お問い合わせ先や、さらに詳しい活動内容なコチラに!!!
↓ ↓ ↓
・この記事を掲載させて頂いた時にちょうど挑戦中だったクラウドファンディングは
目標達成されました!おめでとうございます!(←ご報告させていただきます”アスモスマイル”)
・活動の拠点は、京都大学医学部附属病院小児科 ≫にこトマのページ
<こちら『病院のアートー医療現場の再生と未来ー』アートミーツケア学会
第一章に にこトマ神田前代表の対談形式で掲載されています。
とても良い本です。ご覧になる機会あれば、ぜひぜひ!
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■この記事を書いた人 ご寄稿ありがとうございました■
にこにこトマト 代表 高谷恵美さん& 前代表 神田美子さん
貴重なお話をお聞かせいただきまして誠にありがとうございました。
こども達の笑顔と頑張りが目に浮かんできました。
にこトマさんの素敵な活動がずっと続き、子どもたちの笑顔の輪が広がっていきますように願っています。
アスモスマイル